すべてを照らし出す天空の陽が大きく傾き、光と影が世界をふたつに分かつ。明は暗を際だたせ、暗は明を際だたせる。光がすべてを照らしていたときとは違った陰影に富んだ世界が、静寂とともに辺りを支配する。
水面のざわめきが滑らかな揺らぎに変わるころ、海はそこにいる者に、静かに語りかけてくる。
おまえは、ソウルを持っているのか……、と。

地球上のあらゆる領域や分野においてソウルが失われつつあるいま、サーフィンの世界にソウルはあるのか……。

失われゆくものと、変わらぬもの。
このふたつは、明と暗のように互いのあり様を際だたせる。ソウルが失われていくほど、残存するソウルの存在意義はよりいっそうその輪郭を明瞭にする。
サーフィンから価値あるクラフツマンシップやソウルが次々に失われて久しい。しかし個々のサーファーは、かつての善き価値観に踏みとどまる権利をまだ持っている。

ソウルを失わないことーーー。
それは、ものごとの本質を直観することのできる資格だ。
それは、自らの精神を通念から開放することのできる資格だ。
それは、海がサーファーに賦与してくれる感性を享受できる資格だ。
だから海は、ある瞬間、その場所にいる者に問いかけてくる。
おまえは、ソウルを持っているのか……、と。
text by Takashi Tomita

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Cover: Andrew Kidman - Frame Grab: Mick Waters / Little House Productions